東南アジアにおけるインターネット経済規模の成長がすごい GoogleとTemasekのレポート要点

5+

前回の投稿に続いて、良いレポートがあったので、その要点を拾って自分のコメントを加える形で綴っていこう。今回は、GoogleとTemasek(シンガポール政府の投資会社)が共同で出した東南アジアのインターネット経済についてのレポートだ。

無料でも良いレポートが沢山あるので、とても有難い。

東南アジア全体 インターネット経済の市場規模

東南アジアのインターネット経済は、急拡大の真っ只中だ。

2018年から2025年にかけて、GMV(取扱高)で3.3倍の成長が予測されている。その中で特に伸びしろが大きいのが、Eコマースとオンライン旅行だ。オンライン・メディア(広告・ゲーム・音楽やビデオのサブスクリプション)やライドシェア(移動やフード・デリバリー)も、規模は小さくなるが成長率は高い。

GDPに対するGMVの割合も、2018年から2025年にかけて、2.8%から8.0%まで上がる予想だ。2016年に米国が6.5%であることを考えると、10年程度遅れているが、この差も縮まり始めている。

背景の一つとして、モバイル(携帯電話)の爆発的な普及と、東南アジアに住む人のモバイル使用時間の長さがある。タイは1日当たり4時間56分で世界一位。インドネシア・フィリピン・マレーシアも1日当たり4時間以上で、モバイル使用時間で世界トップ10入りしている。

国毎 インターネット経済の市場規模

東南アジアの巨人インドネシア、そしてタイとベトナムも伸びてくる。

インドネシアは全体の約4割を担う巨大マーケットで、その成長は留まるところを知らない。言わずもがな、東南アジアを主体とするプレーヤーは、この市場にどう食い込むかが肝だ。

タイは域内で2番目に大きい市場だ。ユニコーンのGo-Jek、Grab(何れもライドシェア)、Traveloka(オンライン旅行)が進出している。ただ、僕が友人達と話す限り、まだ夜明け前という印象だ。今後、様々なスタートアップが産まれてくるだろう。

一方、ベトナムは面白いスタートアップが出始めている印象を持っている。優秀なエンジニアも多い。

国毎 Eコマース市場

国毎に見てみると、2.6億の人口を抱えるインドネシアの大きさが際立つ一方、ベトナム、タイ、加えてフィリピンの伸び率が高い。

トップ3プレーヤー、Lazada(Alibabaが買収)・Shopee(親会社のSeaがNasdaqに上場)・Tokopedia(SoftbankやAlibabaが出資)への3極集中も覚えておくべきだろう。Tokopediaはインドネシア・オンリーだが、LazadaとShopeeは東南アジア全域(正確に言うと、Shopeeは台湾を含む7ヶ国、Lazadaは6ヶ国をカバー)で勝負している。

全体+国毎 オンライン・トラベル市場

旅行の予約が電話や店舗でのオフラインからオンラインで行われる比率が高まり、オンライン・旅行の市場規模も拡大している。2015年に34%だったのが、2018年には41%、2025年には57%まで比率が上がる見込みだ。

最も市場規模が大きいのはオンラインの航空券予約だが、伸び率が高いのはオンラインのホテル予約だ。

国で見ると、インドネシアに加えて、タイの伸びと市場規模が大きい。Travelokaというインドネシアのユニコーンがタイ市場に進出したこともあり、市場が伸びているのだ。

資金調達

全体・国毎の資金調達額

東南アジアにおけるインターネット経済の資金調達は、大きく伸びている。

2017年から2018年前期にかけて、総額が2.5倍(上図の2.2xは間違い)に伸び、前期だけで$9.1B(≒1兆円弱)に上る。日本は大体2,000億円という理解なので、5倍の規模だ。

国毎では、シンガポールが最も多く、インドネシアがそれに続く。

シンガポールが多いのは、為替の安定性と法制度が整っていることから、ホールディングス会社や本社をここに置いて資金調達を行い、その傘下に各国のオペレーション会社をぶら下げるからだろう。Grab、Lazada、Sea Group(Shopeeの親会社)というユニコーンがシンガポールで巨額の資金調達を行っている。

全体・国毎の資金調達件数

件数を見ても、その数は2017年から2018年前期にかけて、2倍に増えている。

一方、国毎で見ると、シンガポールとインドネシアが多いものの、東南アジアの他国にも散っている。ユニコーンによる巨額資金調達はシンガポールとインドネシアに集中している一方、他国でもスタートアップへの投資が増えているからだ。

セクター毎の資金調達額

セクターで見ると、ライドシェアとEコマースに資金が集中している。何れもユニコーンによるところが大きい。

主要セクター以外の資金調達額

これまで見てきた通り、本レポートはEコマース、オンライン旅行、ライドシェア、オンライン・メディアの4セクターについて書かれたものだ。

ここでは、その他のセクターにおける資金調達をみる。

とは言え、フィンテックとその他としか分かれていないのだがw、フィンテックにも徐々に資金が集まっている。具体的には、P2Pレンディング、オンライン・ペイメント、価格の比較サイトがその中心だろう。

ユニコーンによる資金調達額

ユニコーンによる資金調達も、2017年から2018年前期にかけて2倍に伸びている。2018年前期では、全体の7割超がユニコーンによるものだ。

ユニコーン以外による資金調達額

ユニコーン以外の資金調達額は、2017年から2018年前期にかけて、4倍の伸びだ。特に$10M-$100M(≒10億円-110億円)サイズの資金調達が大きく伸びている。

まとめ

GoogleとTemasekがまとめた東南アジアのインターネット経済に関するレポートを見てきたが、いかがだっただろうか。

  • 東南アジアのインターネット経済は急拡大中で、2018年から2025年にかけてGMV(流通総額)が$240B(≒26兆円)の3.3倍に
  • 特に、インドネシア、タイ、ベトナムの伸びが大きい
  • Eコマースは、Lazada・Shopee・Tokopediaの3社に成長が集中
  • オンライン旅行、特にオンライン・ホテル予約が伸びる。インドネシアに加えて、タイも大きく成長する見込み
  • 資金調達は、2017年から2018年前期にかけて、2.5倍の約1兆円規模に。件数でも2倍の約700件

東南アジアは、この10年で更に大きく成長していくマーケットなので、今後もマーケットの全体像を把握しながら、個別に動けると良いだろう。

5+

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA