数日前に、QRコード決済で有名になったOrigamiが、メルカリ傘下のメルペイに買収されたというニュースが報道された。
買収価格が非公開になっていたので、OrigamiのExitが成功したのかと一瞬思った方もいたかもしれない。だが、この数日で報道されている通り、実態は救済買収で、おそらく二束三文の買収だったはずだ。
Origamiの投資家持分を創業者が買い戻し、それをメルペイが買うというスキームが取られている。なぜ投資家分を直接メルペイが買わなかったのか、創業者が買い戻した原資はどうやって賄ったのかなど、幾つか疑問があるが、これは当人達に聞かないと憶測の域を出ないので、仕方ない。
Origamiは、ちょうど僕がMBAに合格し、アメリカ行きを決めたぐらいの時期に立ち上がった会社だ。今はheyに統合されたコイニーと共に、当時まだまだ少なかったスタートアップの中で有名だった記憶がある。
あれから既に8年。結果としてはこうなったものの、裸一貫から日本に影響を与えるまでに成長したスタートアップを作り上げたのは凄い。
Origamiの売却は日本におけるWeWorkショック的な案件になるかもしれない
以前投稿した通り、中国や東南アジアのスタートアップ投資では、しばらく前から資金調達が難しい局面に入っていた。
日本も、数ヶ月位前からそういう局面に入っていて、今回Origamiの件で遂に表に出始めたなという印象だ。
これから徐々に、大小色々なスタートアップが、倒産なり救済買収なり、色んな形で夢破れていく結果が出てくると思う。
メディア上や公表するニュースではイケイケに見えても、実態は逆というスタートアップは沢山あるものだ。
Origamiのニュースが出る前から潮目は変わっていたが、WeWorkショックと同様、これが象徴的な案件になり、大企業を含む投資家のスタートアップ投資に対する心理は更に冷え込むことが予想される。
スタートアップは冬の時代に突入したと理解し、生き残りに全力を尽くすしかない
こうやって潮目が変わると、とりあえずトレンドに乗ってCVCを作り、何となく投資している大企業や、盛り上がってきて儲かりそうだなと思って投資し始めたエンジェル達は、さーっと引いていく。
更には、パフォーマンスが優れないファンドも、次のファンドをレイズ出来ずに静かに死んでいくことになる。
パフォーマンスが良いVCや本気でやっているCVCは継続して投資するが、投資基準は厳しくなるだろう。
利益が出るまでの道のり・ビジネスモデル・ユニットエコノミクスが見えないスタートアップは、資金調達が厳しくなるはずだ。逆に、既に利益が出ていたり、利益が出るまでの明確な道のりを示せる会社は、興味を持つ投資家がいる可能性が高いから、チャンスだと思う。
従って、スタートアップとしては、人員整理も含めてあらゆる費用の削減をし、月次ベースで利益化を目指すのが良いかもしれない。
売上については、後払いではなく先払いにし、売上回収率とそのタイミングを上げることも有効な手段の一つだ。例えば、顧客にスタートアップが多い場合は、その顧客が倒産してしまい、売掛金を回収できないこともある。先払いにすれば、そういうケースは回避できるはずだ。
僕が近く投資する予定の会社は、顧客企業であるスタートアップの幾つかが倒産して、回収不可な売掛金が溜まったしまった。その対策として、後払いを先払いに変えて、売上をアップさせ、今では月次黒字化を達成した。
とにかく、生き残らないことには成功はないので、しばらくサバイブすること、つまりキャッシュを切らさないことに集中することだと思う。
ちなみに、前回投稿したピンチに陥った香港の友人起業家は、瀬戸際でエンジェル投資家からブリッジの資金を調達できたようだ。半分位の人員を削減することになってしまったが、一先ず生き延びれたようで良かった。
彼らは、同じ領域でto Cからto Bにビジネスをピボットし、また頑張るようだ。
自分の投資先を含めて資金調達や事業の継続が困難になる会社が出てきている中、瀬戸際で首の皮一枚でつなげた友人には、元気をもらった。引き続き、微力ながら色々とサポートしていきたい!
香港Tink Labsも ユニコーン含むスタートアップの倒産はこれからじわじわ出てくる