ソフトバンク ビジョンファンドが投資するアジアのユニコーン達一覧(前編)

今回は、VC業界(特にレートステージの未上場企業への投資)を変えたと言っても過言ではない、ソフトバンクのビジョンファンドを見ていこう!

僕は、東南アジアで活躍する先輩投資家から「孫さんが自らプレゼンをする、ソフトバンクの決算説明動画は見ておくべき」と聞き、それ以来動画を見るようにしている。

先日公開された動画の中で、ビジョンファンドの投資先一覧を見た時、知らない会社が結構沢山あったため、ざっと何の会社か調べてみることにした。今回は、その中でもアジアの投資先について、簡単に紹介していこうと思う。

71社の投資先の内、16社はアジアの会社

先ず、全体感として、2019年2月時点で71社ある投資先の内、少なくとも16社はアジアの会社だ。

16社の内訳は、中国が8社、インドが5社、韓国が1社、シンガポールが1社、そしてインドネシアが1社だ。中国とインドが大半を占める一方、東南アジアはまだ2社しかない。

今後のマーケットの伸びを考えると、東南アジアとインドの投資先がさらに増えていくのでは、と思う。

DiDiを始めとする中国の投資先

それでは、それぞれの投資先を紹介していこう。先ずは中国の会社だ

DiDi

中国のライドシェア大手。僕も香港で、タクシーが捕まりにくい時に時々使う。(中国本土と比べて、香港のサービスはかなり限定的で、既存タクシーを呼ぶことのみ可能。無いよりマシだが、さして便利なアプリではないw)グローバルでは、買収や現地パートナーとの協業を通して、オーストラリア・ブラジル・日本・メキシコでサービスを展開中。タクシーに限らず、自転車やトラック等のライドシェアに加えて、自動車保険も提供している。

これまで調達した資金は計$20B(≒2兆2千億円)に及ぶ。投資家には、ソフトバンクを始め、協業やリターンを求めて様々な事業会社や金融機関等が名を連ねている。

Manbang Group

中国におけるUberのトラック版と言えるManbang Group(Full Truck Alliance Group)。トラック運転手と配送依頼の需要を結びつけるプラットフォーム事業で、フィーとして20%課金している模様。中国国内の競合もそうだが、香港のユニコーンであるGoGoVanやLalamove等も中国に進出しているので、競争環境は厳しいはずだ。

2018年に$1.9B(≒2,000億円)の資金調達をしていて、ビジョンファンドを始め、中国でもトップのVCであるセコイア中国、巨大テクノロジー/投資会社のテンセント、テンセントへの初期投資で名を挙げ、現在はレートステージの未上場株投資から上場株投資まで幅広く手掛けるHillhouse等が株主に並ぶ。

ByteDance

日本でも人気のTikTokや、日本のスマートニュースやグノシーのような個人に最適化したニュースを届けるToutiao等のサービスを提供するByteDance。日本を始め、韓国や東南アジア、ヨーロッパや北米40ヶ国に進出している。(TikTokが中国企業のサービスなのを知らない日本人は結構多い気がする。裏を返すと、それだけ上手く広告・ブランディングしている証拠。)

現在Uberを抜いて、世界で最も評価額の高い未上場企業だ。その額何と$75B(≒8兆2千億円)!おそらくByteDanceの下にToutiao等の各会社がぶら下がっているストラクチャーと思うが、ByteDance本体にはビジョンファンド、泣く子も黙るプライベート・エクイティの雄であるKKR、ジェネラル・アトランティック等が並ぶ。

Ping An Good Doctor

インターネットとAIを使い、オンラインのみで病院に行かずとも診察が受けられるプラットフォームを提供するPing An Good Doctor。登録ユーザーは2億人超。中国の巨大保険グループである平安保険の子会社だ。

2018年に香港証券取引所へ上場していて、時価総額は2019年2月現在、おおよそ香港ドル40B(≒5,600億円)。

Zhong An

中国2大テクノロジー企業であるAlibabaやTencentと、上述の平安保険等による合弁会社。所謂ネット保険の会社で、主に損害保険(Eコマース商品等が主な対象)を取り扱う。中国国内のインシュアテックを牽引していると言える会社だ。

2017年に香港証券取引所へ上場済で、時価総額は香港ドル44B(≒6,200億円)。

One Connect

これまた平安グループのグループ会社であるOne Connect。中小規模の銀行に対して、AIやブロックチェーン等の技術を駆使して様々な金融関連のサービスを提供している。

シリーズAの資金調達で既にユニコーン化していて、その調達額は$650M(≒720億円)。

Ping An HealthKonnect

オンラインであまり情報が見つからなかったのだが、Ping An HealthKonnectという、病院向けの保険の一括手続きをするプラットフォームを提供している会社にも投資しているようだ。

Zhoyebang

中高生向けのオンライン教育スタートアップ。2億人近くのユーザーがいるらしく、ユーザーはオンライン学習サイトに問題を写真で投稿して解答を得たり、宿題の評価を得たりする。元々は巨大テクノロジー企業であるBaidu傘下にあり、そこからスピンオフした会社だ。

外部向けにも資金調達を実施していて、これまで累計$585M(≒645億円)を調達している。株主には、セコイア中国やGGVといった中国の大手VCや、Legend等中国の大手PE、更にはGoldman SachsやTiger Global等も参加している。

まとめ(中国の投資先のみ)

インドと東南アジアを見ていく前に、既に結構なボリュームになったので、ここで一区切りしよう。

  • ビジョンファンドによる中国の投資先は、全体71社中少なくとも8社。
  • その内、4社は巨大フィンテック企業である平安保険関連の会社。
  • 他4社はライドシェア、トラックのマッチング、動画やニュース、教育関連だが、何れもプラットフォーム事業であり独自のデータが取得できる会社。

次回は、インドと東南アジア、更に韓国の投資先8社について見ていきたいと思う。ぜひお楽しみに!

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