東南アジアのスタートアップ投資の現在 (1) 投資規模

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先週後半にシンガポールを訪問してきた。かなり久しぶりの訪問だ。考えてみたら、MBA1年目終の長い夏休み以来、実に4年ぶりであった。

今回は、東南アジアで投資をしていく上で、日本と香港に加えてどこの国に重点を置くか決めたいと思い、訪問した。

僕はこれまで個別の投資案件を追いかけることに集中する一方、他投資家等と話す中でマーケット感覚を持ってはいたものの、データでスタートアップ投資のマクロ環境をおさえていなかった。なので、今回、マクロ感をデータに基づいておさえたいと思い、そのまとめを本投稿として書こうと思った次第だ。

その第一回目として、東南アジアにおけるスタートアップ投資のマーケットについて、書いていく。ちなみに、第2回目以降として、主に大型の個別案件や、東南アジアにおけるExit環境について書きたいと思っている。

東南アジアのスタートアップへの投資規模

先ずは、東南アジアにおけるスタートアップへの投資規模を見ていこう。

投資規模は、年々大幅に増えていて、特に2017年は予測ベースで約1兆円にのぼっている。2017年が2016年の3倍超の規模に増えているのは、大型の資金調達が行われたからだ。例えば、ライドシェアのGrab、同じくライドシェアのGo-jek、E-commerceのトコペディア等が1,000億円を超える大規模な資金調達を行ったことが大きい。

ライドシェアやE-commerceは、グローバルに見てもUberやDidi、Amazon等の巨大なスタートアップが誕生していて、それらが様々な周辺ビジネスに進出してエコシステムを作っている。Grab、Go-jekやTokopediaは、それぞれの市場で生き残った勝ち組スタートアップであり、勝負が決まってきたところで、更なるビジネス拡大に向けて大型の資金調達が実現している。

ちなみに、日本のスタートアップ投資を見てみると、投資金額は2012年から年々増えている一方、2016年と2017年は投資件数が前年割れしている。日本と東南アジアと比較すると、金額ベースでは、2015年にほぼ並ばれ、2017年では4倍弱の差をつけられている

国毎の投資規模

それでは、東南アジアのそれぞれの国毎ではどうなのだろうか。

上記グラフは、スタートアップが本社を置く国毎の投資金額合計だ。シンガポールとインドネシアに投資が2極集中していると言える

シンガポールは、法整備がなされている上、他東南アジア諸国と比べて通貨が安定しているので、ここに拠点を置くスタートアップは多い。事業は他国で行っているが、ホールディング会社をシンガポールで登記し、資金調達を行うスタートアップもある。一方、インドネシアは、2億6千万の東南アジア最大の人口を誇るマーケットを有しており、この巨大市場を狙って多くのスタートアップが誕生している。

上述のGrabは本社をシンガポール(元はマレーシア)、Go-jekとTokopediaは何れもインドネシアに置いている。

一方、これら2ヶ国よりは小さいものの、マレーシアも一定の規模を有している。今回話を伺ったところ、マレーシアに張っているVC投資家は少なく、ここが現在穴場的なマーケットになっているとのことだ。

ベトナムは現在伸び始めている市場、タイはまだ時期尚早との印象を持った。

件数ベースでみると、少し印象が変わる。規模ベースだとランキングに入っていたベトナムが外れて、フィリピンがランキング入りしている。規模ベースと同様に、シンガポールとインドネシアに案件が集中している一方、その集中度合いは規模ベースと比べて低い。

分野毎の投資規模

次にどんな分野に投資が集まっているのか見てみよう。

2017年のデータを見ると、ロジスティクスとE-commerceに集中的に投資が集まっていることが分かるテック分野に投資が集まる順序として、E-commerceやゲームに先ず投資が集中して、そこから巨大テック企業が生まれる。日本で言えば、楽天やGree、DeNA等がそうだろう。そして、近年投資が集まっているライドシェアやロジスティクス分野で次の巨大テック企業が誕生している。アメリカではUberやLyft、中国ではDidi等がそうだ。(日本は規制や既存勢力の抵抗もあり、巨大なライドシェア会社が誕生していない。。。)

今後は、FintechやTravel等、他の分野に投資が集まり、そこでまた新たな大企業が生まれていくはずだ。

まとめ

今回の投稿では、東南アジア全体及び各国の投資規模や投資件数について見てきたが、いかがだっただろうか。ポイントを纏めると、以下のようになる。

  • 東南アジアのスタートアップへの投資規模は約1兆円(2017)で、日本の4倍弱
  • 国では、シンガポールとインドネシアに2極集中
  • マレーシアが現在穴場的なマーケットに
  • 分野ではEcommerceとロジスティクス(ライドシェア)に集中

次回は、個別の投資事例や僕が東南アジアへの投資をする上で最もおさえておくべきと思ったExitについて、投稿したいと思う。

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