次世代の歯科保険会社 Beam Dentalのユニークなビジネスモデル

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今回は、歯科に特化した保険スタートアップのBeam Dentalを見ていこう。ビジネスモデルがとてもユニークで、次世代の歯科保険会社と呼べるスタートアップだと思う。

Beam Dentalとは

先ず、Beam Dentalがどんな会社なのか、ざっと見ていこう。

Beam Dentalは、2012年にアメリカのオハイオ州で創業されたスタートアップだ。

歯科に特化した法人向けの保険会社だが、DTC(オンラインで、顧客に直接販売する方法)で電動歯ブラシも送付している。被保険者にBlootooth式の電動歯ブラシを送付し、そこから取得できる歯磨きデータを元に、更新の時に保険料を調整しているのだ。

ちなみに、アメリカの健康保険は日本と異なり民間業者によって提供されている。そして、健康保険には、虫歯の治療や歯の定期検査、クリーニング等は含まれない。従って、それらを対象として歯科保険に別途加入する必要がある。

下記でBeam Dentalのビジネスモデルを詳しく見ていこう。

ビジネスモデル

従来の保険会社であれば、過去の記録を元に保険料を決めるが、Beam Dentalは常に最新のデータを直に取得することで、保険料を最適化している。そして、そのデータ取得に必要な電動歯ブラシを、保険プランに含めているのだ。保険プランに電動ブラシ等の定期送付を含めているところが、非常にユニークだろう。

  • 送付されるもの:電動歯ブラシ、歯磨き粉、フロス(糸式ヨウジ)、交換用ブラシ
  • 送付の頻度:半年に一回
  • 保険価格:従来のものと比較して10-15%程度安い
  • サービス展開地域:16の州
  • 歯科ネットワーク:325,000超

顧客

現在のところ、顧客は個人ではなく、法人、そして保険のブローカーとしている。法人の中でも、特に中小企業にフォーカスしているようだ。

個人と違って、広告をバーンと打って顧客を一気に獲得するのではなく、おそらくセールス部隊が地道に営業をかけているのだろう。Beam DentalのHPには、従業員が雇用主である会社にこの保険について通知できるようになっているので、個人である従業員の口コミやマーケティングも、一定の効果があるのかもしれない。

テクノロジー

Beam Dentalは、下記のようなポータルサイトを雇用主に提供している。見方によっては、保険というサービス、歯ブラシという商品、更にポータルというサービス(SaaS)を3つ同時に提供していることになる。僕はニューヨーク時代に、一部の従業員の保険を管理していたので分かるが、これは雇用主からするとかなり面倒くさい作業だ。時間が取られる割に、業績向上には繋がらない。手を抜くと、従業員の不満がこちらに向かってくる悲惨な状況になる。

従って、こうしたポータルによって、従業員毎に違うプランや状況の保険を一元管理できること、そして彼らがそれぞれ持つ大小様々な質問を直接保険会社が対応してくれると、会社としては大変助かるはずだ。僕は、よく従業員と保険会社の間に挟まれて、不条理な時間を過ごしていた。。。

歯を磨くインセンティブを与える仕組み

顧客に、歯を磨いてもらうインセンティブ付与の仕組みが面白い。都度送られてくる歯ブラシのデータを元に、歯ブラシスコアを自動で付け、それをAからDにランク付けし、Aだと10%+、Dだと0%と言うように、保険料を割り引く仕組みだ。

顧客からすると、自分の歯を継続的に磨くインセンティブになる一方、Beamからすると、歯のトラブルを防ぐことで治療費支払いを減らすことが出来るので、お互いにWin-winの仕組みだと言える。

今後考えられる戦略

全米展開

上述したように、2018年5月現在、Beamは米国内の16州のみでサービスを展開している。下記で触れる調達した資金を使って、全米に展開していくだろう。

リッチなデータの活用

本ブログでも、顧客データを取ることが大事と何度か書いたが、データの質もかなり大事だ。Beamの場合、リアルタイムで個人それぞれの歯磨きに関するデータが取れる上、それを登録の際に取れるかなり詳しい個人情報と紐づけることが出来る。

このデータと顧客毎の治療等の関連性を機械学習で回していけば、保険料やプランの提供がそれぞれの個人により最適化されていくはずだ。

加えて、例えば「そろそろ近くにあるこの歯科医に歯のクリーニングに行って下さい」など、最適なタイミングで、顧客に直接アクションの提案をできるようになるのではないか。データを用いて、機械・システムから自動で、人間に指示が出るということだ。

株主と資金調達

Beam Dentalは、2012年から2018年までに、4回に渡って、合計$33M(約37億円)の資金調達を実施している。

4回目であるシリーズCにて、トップVCであるKleiner Perkinsからも資金調達した点は注目しておくべきだろう。オハイオ州という地方にあるスタートアップはあまり聞かないが、シリコンバレーにあるKleinerまで噂が届き、魅力的な成長を遂げているから、今回資金を投じたはずだ。

まとめ

今回は、ユニークなビジネスモデルを持つ歯科保険会社のBeam Dentalを見てきたが、いかがだっただろうか。最初にHPを見た時は、電動歯ブラシを販売している会社と思ったのだが、ところがどっこい。実は歯科保険がメインの会社であることを知り、驚いた。

以下に本投稿の内容を纏めてみた。

  • Beam Dentalは、単に歯科保険を提供するだけでなく、被保険者に電動歯ブラシを定期送付し、そこから得られるデータを元に、保険価格を都度最適させる、次世代の歯科保険会社
  • 法人顧客に対して、従業員の保険を管理するポータルサービスも提供(BtoB SaaS)
  • 歯磨きの頻度等によってランク付けし、保険料に反映させることで、顧客に歯磨きをするインセンティブを付与
  • オハイオという地方のスタートアップで、シリーズCでKleiner Perkinsが投資

保険業界では、健康保険や自動車保険等でも、個別にリアルタイムでデータを取得することで、保険料の最適化が図られてきている。その中で、今回のBeamは、顧客にとって価値が高い歯ブラシを提供するという意味で、次世代の保険会社と言えるのではないだろうか。

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