先日新しいアパートへの引越しが完了し、関わっていた二つのプロジェクトがほぼ終了した。
何れも相応の時間をかけてきたので、ようやく一息ついたところだ。
一つのプロジェクトでご一緒させて頂いた、某著名教授ともじっくり話をする機会があり、色々と勉強になった。
彼は政治を専門にしているため、僕の拙い政治の知識と意見を元に意見を伺ったのだが、不勉強なことがよーく分かったので、アンテナを広げていきたい。
少し驚いたのは、彼が僕の元ボスであるVictorと知り合いだったことだ。海外の若手日本人の世界の狭さにも驚くが、こうしたとある分野で国を代表する人同士も繋がっているんだな〜と実感した。何れにせよ世の中は意外に狭いものだ。
マンハッタンのアパート事情
さて、今回はかなりの時間を取られ、しかも面倒だった「ニューヨークの賃貸アパート探し事情」について書いてみよう。
家賃高騰の背景
ご存知かもしれないが、マンハッタンではここ2-3年で家賃が高騰している。毎年10%程度はざらで、地域によっては倍近くに値上がりしているとも聞く。
マンハッタン在住歴の長い友人に聞くと、大家ではなく、賃貸仲介をするブローカーが値上げを進めているらしい。
ブローカーは仲介した年間仲介料の15%程度をフィーとして受け取る。大家はより高く賃料を取れるのはWelcome。値上げをしても需要は十分にある。
こうした需要と供給側のバランスがあり、異常とも言える値上がり現象が起きているのだ。
どれくらい高いかと言うと、マンハッタンの100Streetより南に位置し地下鉄へのアクセスが比較的良い、築100年の古いアパートの小さめのスタジオ賃料で、東京の例えば港区等の新築高層マンション20階にあるワンベッド部屋に住める感覚だ。(円安が進んでいることも大きい。上記はあくまでイメージなのでご留意を。)
値段が高いこともそうだが、今回実感したのは、そのプロセスが面倒だと言うことだ。
NYの賃貸アパートに必要な書類
通常、NYでアパートを借りる際には以下の書類が必要となる。
NYの賃貸アパート契約に必要な書類
- 過去3年間の個人の税務申告書
- (給料が記載されている)雇用契約書
- 最新の銀行口座明細
- ソーシャルセキュリティ番号等、必要情報を明記した申請書
- 運転免許証やパスポード等IDのコピー
雇用契約書
キーになるのは、先ず雇用契約書。
ここに記載されている年間給料が、月間賃料の40倍以上である必要がある。
考えてみると分かるが、これは結構ハードルが高い。仮に 月2,000ドルの部屋(一人部屋だと大体最低これくらいはする)に住もうとする場合、年間8万ドルの給料が必要になるのだ。
ここで仮にまだ雇用が確保されていない場合、Guarantorというアメリカ在住の保証人が必要となる。
が、僕を含める留学生や元留学生には、通常両親や親戚など、Guarantorになってくれるアメリカ在住者はいないだろう。
過去3年間の税務申告書
次に問題になるのは、過去3年間のTax Return(税務申告書)だ。
過去2年間学生をしていた僕は、支出ばかりで殆ど収入は無かったので、こんなもの持ち合わせていない。その場合、アパートによっては、入居時に支払うデポジット料金を、通常の賃料1ヶ月分から3ヶ月分に増やす要求をしてくる場合がある。
更に面倒なのが、アパートが直ぐに他の候補者に取られてしまうことだ。前述したが、マンハッタンにおけるアパートは需要が供給を上回る状況(香港と同様だと思う。)であり、人気のある物件は直ぐに埋まってしまう。
僕も今回契約した物件は、見学してから3時間で必要書類を揃えて確保した位だ(笑)。さすがに3時間は早いにせよ、1-2日で確保しないと、他候補者に取られてしまうのだ。
おいしいブローカー業
加えて、腹が立つのは大した仕事をしないブローカーに数十万円に相当する仲介料を支払うことだ。他ビジネスでもそうだが、通常仲介人は大した付加価値を加えないのに、結構な金額を儲けるのだ。
ここにビジネスチャンスを見出したテック・スタートアップも幾つかあるのだが、結局ブローカー無しでは物件が集まらないため、今までと値段が変わらないケースが多い。
ブローカー無しと紹介されている物件も、単純にブローカーフィーが掲載されている賃料に含まれているだけで、結局以前と何も変わらない場合も多い。
僕が以前借りていたアパートは、同級生が大家を直接紹介してくれたので、仲介料を支払う必要が無かった。
だが、こうしたケースは非常に稀だろう。このアパートには、上述した雇用契約書等の書類は一切不要で、賃貸期間中の全ての賃料を一括で最初に支払うだけだった。今思うと、不法なのだと思う(笑)。
マンハッタンでのアパート探しは要注意
今回は、「ニューヨークの賃貸アパート探し事情」について書いてきた。
長々と書いてきたが、マンハッタンのアパート探しはそれなりに時間を取られるので、要注意だ。特に留学生の場合は。
一方、これだけ面倒なプロセスにも関わらず値上がりし続けているのは、それだけ街に魅力があり需要が増えている証拠なので、もしマンハッタンに住む機会があれば、是非存分に楽しんで頂ければと思う。
これまで東京、オレゴン、香港、ニース、バンクーバー等に短期も含めて住んできたが、NYは抜群に面白い街だ。
NYの魅力についてはまた改めて投稿しようと思う。
先日友人を訪ねにいったサンタモニカにて。西海岸は実は9年ぶり!気候がよくリラックスできる良い場所だ。