今回は「香港 vs シンガポール どっちに移住するのが良いのか 徹底比較!」について書いていこう。
僕は香港に計7年弱住んでいるが、シンガポールはあくまで訪問のみで、その時の感覚や香港からシンガポールに移り住んだ友人からの情報を元に書いているので、その点にはご留意を頂きたい。
家賃
先ずは大きく異なる家賃事情から。
上記はドイツ銀行が出しているレポートをstatistaが纏めた「2ベッド・アパートの月当たりの平均家賃」だ。香港が$3,737(≒41万円)で世界一高い。近年テック企業が勃興したこともあり、家賃がうなぎのぼりのサンフランシスコ。そしてニューヨークが続く。
シンガポールは$1,974(≒22万円)で、香港の約半額。東京はその次で$1,740(≒19万円)だ。
僕の感覚では、香港がニューヨーク(マンハッタン)の2-3割高、シンガポールの倍なので、それとほぼ一致する。
日本でも報道されているデモの影響で、香港の家賃は上昇が止まり、一部下げが始まっている。が、それも一部でまだまだ高い水準であることには変わらない。
兎にも角にも香港は家賃が非常に高い。中心地の便利なロケーションであれば、$3,737では狭いアパートにしか住めないが、シンガポールであれば綺麗な一軒家に住めるのではないだろうか。
相応に便利なロケーション且つ質の高めなアパートであれば、1,000sqft(30坪程度)で毎月の家賃は50,000~70,000香港ドル(70万円~100万円)くらいの家イメージだろう。
税金
次に個人の所得にかかる税率を比較しよう。
3ヶ国何れも累進課税で、シンガポールは最高税率が22%、日本が住民税も含めて55.95%、香港は15%とあるが僕の理解では15%はStandard rateで最高税率が17%のはずだ。
先進国の中では香港とシンガポールは低い一方、日本は高い。さらに、香港がシンガポールよりも5%低いことになる。が、この差は家賃によって軽く相殺されることを覚えておきたい。
一方、香港もシンガポールも所得税以外の税金はほぼかからないはずだ。キャピタルゲインや配当には課税がないし、贈与税や消費税、さらには相続税もない。タックスヘイブンと呼ばれてている国の一つで、様々な税金は免除されている。他にあるとすれば、法人税と印紙税くらいではないだろうか。
それでも日本とは異なり、香港政府の財政は黒字だ。法人税、政府が所有する土地の値上がり益、不動産の売買等で生じる印紙税、所得税などが主な収益源だ。
大気汚染
上記のReal-time Air Quality Indexのマップを見ると、シンガポールは68、香港は93、ちなみに東京は70程度。空気は間違えなくシンガポールの方が良い。
香港で空気汚染の影響を感じるのは、特に夏だ。11月から3月くらいは気温が落ちて過ごしやすい時期なのだが、4月から気温が上がるのと時期を合わせて、PM2.5の汚染具合が上がる日が出る気がする。
余談だが、中国は500を超える場所もあって、色の濃さが半端ではない。長生きしたい人は住まない方が良いのではないか。
食事
食事の種類や美味しさだと、香港もシンガポールもあまり遜色ないと思う。違いを挙げるとすれば、香港は様々な地方の中華が多い一方、シンガポールはインドやマレーシア料理を扱うレストランが多いくらいか。
それはそれぞれの地に住む人の割合に比例しているのだと思う。シンガポールはインド人やマレーシア人が多く、香港は中国人が多いはずだ。
上の表を見ると、Groceries Index(食材の値段)やRestaurant Index(レストランの値段)を見ると、香港の方がやや高い。場所やどのスーパー・レストランに行くかに拠るが、感覚値として中環を始めとする香港島の高級スーパー・レストランは、質に対して値段が高いと思う。つまり、コスパが悪いということだw
ちなみに、創業者の安田さんの移住を機に、シンガポールでドン・キホーテがスーパーを出したが、香港にも遂に店がオープンした。
Don Don Donkiの名で、今日現在Tsim Sha Tsuiのメイン通りであるNathan Road沿いにある。
アクティビティ
香港とシンガポールの大きな違いの一つは、山があるかないかだ。香港は、大小様々な山が香港島から新界に至るまでそびえたっている。一方シンガポールは、平地が続く。香港では多くの人がハイキングを楽しむが、シンガポールではそれが無い。
ビーチの数も香港 > シンガポールだろう。
クラブやバー等の夜遊びにしても、香港には蘭桂坊という眠らない街があるが、シンガポールはそれに欠ける。
香港からシンガポールへ移った元同僚と話すと、シンガポールは芸術やアクティビティがなく、週末が暇だとこぼしていた。個人の趣味によるが、そういう側面もあるということだろう。
学校(お子さん用)
友人から聞く話だが、子供の学校ではシンガポールに軍配が上がりそうだ。というのも、香港は入学に必要な金額が異常に高いからだ。
評判の良いインターナショナル・スクールに入ろうとすると、Debentureという学校債なるものを要求される。この値段がぶっ飛んでいて、何と数千万~一億円する場合もあるらしい。原因は、中国本土からわが子を香港の学校に通わせる中国人富豪が多いことだ。一般人には到底支払える金額ではないだろう。
一方、公立学校は、日本と似ていて個性を重視せずに、ロボットのような子供を生み出していく画一的な教育が行われているのが現状と聞いた。
他インターに比べてやや金額が安めなのは、イギリス統治下にあった時の公立校ESF(English Schools Foundation)だ。これは元公立校だけあって学区があり、どの学区の学校かによって質が変わるらしい。が、全体的に質の高い教育が受けられると聞く。Debentureもないはずだ。
シンガポールのインターは、学校債がなく学費は他国のそれと変わらないので、子供の教育を考えるとシンガポールの方が良いかもしれない。
雰囲気・エネルギー度
シンガポールの雰囲気はどこか日本に似ていて落ち着いている。一方、香港は雑多としていて落ち着きがない分、エネルギーに溢れている。ニューヨークのマンハッタンに近いと思う。
よくシンガポールは家族向け、香港はシングル(独り身)向けと言うが、それは街が持つ落ち着きやエネルギーに拠るところがあるはずだ。
また、シンガポールは日本人コミュニティがあると聞くが、香港はそうでもないはずだ。僕が香港で会う人たちは、どちらかと言うと群れるのはあまり好きでない人が多いw 変に気を使うのが好きじゃなく、より自由にやってる人が多い気がする。
天気・気候
どちらも暑いのだが、大きな違いがある。
このサイトからデータを引っ張ってきたところ、シンガポールは年中安定して30度前後の天気が続く一方、香港は15度から30度位まで一年を通して四季(冬は一瞬で終わるがw)がある。
1年中常夏の中で半袖で過ごしたい人にシンガポールは良い一方、冬物のコートを着てクリスマスの時期のそれっぽい天気を味わいたい人は香港が良いだろう。
日本からの渡航時間
香港→東京は4時間に対して、シンガポール→東京は6.5時間。逆に東京→香港は4.5時間に対して、東京→シンガポールは7時間。2.5時間の差がある。
香港⇔東京であれば空港までの移動や待ち時間等を入れても半日で移動ができる一方、シンガポール⇔東京だと移動が一日がかりになってしまう。
僕が香港で好きなことの一つは、東京へ週末渡航が十分可能なことだ。土曜の早朝に香港を出発すれば、土曜の昼から日曜の夜まで東京に滞在し、日曜遅くに香港へ帰ってくることが出来る。シンガポールからだと、週末渡航はなかなかハードな日程になるだろう。
従って、日本への訪問が多い場合は香港に軍配が上がるだろう。
まとめ
今回は、「香港 vs シンガポール どっちに移住するのが良いのか 徹底比較!」について書いてきた。
これまで見てきたように、香港とシンガポールは同じアジアの国際都市であるものの、異なる顔を持つ2都市だ。どちらにも長短があるので、もし住む機会があるのならば、ご自分の好みや感覚に沿って比較検討してみると良いだろう。
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