【最新】フードの未来を切り開いていくスタートアップ達

僕が注目している分野に、フード×テクノロジーがある。人口増に対する十分な食の提供や、温暖化に伴う生産性の低下等、食に関する未来は決して明るいわけではない。そこで、こうした問題を解決しようとするスタートアップが、アメリカを中心に誕生している。

今回は、いつもと異なり、フード関連スタートアップの全体感を見た後に、それぞれ注目するスタートアップについて簡単にコメントしていく形で、投稿してみようと思う。

今回も、CB insightsに素晴らしいレポートがあったので、それを参考にした。

フード関連スタートアップの整理

レポートは、フードに関わるスタートアップを以下のカテゴリーにて分類している。

それぞれに当てはまるスタートアップを見ると、以下のようになる。

カテゴリーを見ただけでは何のことか分からないと思うので、それぞれ簡単に説明していこう。

代替プロテイン

現在プロテインを摂取するための主な食品である肉や魚等を、よりサステイナブルに生産するスタートアップが、このカテゴリーに含まれる。例えば、植物性の肉や魚、大豆で出来たミルク、更にはコオロギ等昆虫から作ったパワー・バー等がそうだ。以前の記事で紹介したBeyond Meatもここに入る。

廃棄ロス

現在、アメリカでは収穫された食料の約3-4割が廃棄されているとのデータがある。これらの膨大な廃棄ロスを、クリエイティブなアイデアや技術によって減らそうと努めているのが、このカテゴリーに当てはまるスタートアップだ。

生産性向上

IoT、AI、機械化等、今まさにトレンドになりつつある技術を利用して、食料生産の生産性向上を狙うのが本カテゴリーだ。

栽培方法のイノベーション

例えば、屋外でなく都市のインドアで効率よく野菜等を栽培する方法を開発する等、これまで主流でなかった栽培方法にイノベーションを起こして、食の供給をサポートするのがこのカテゴリーだ。

バイオテクノロジーを利用した新たな食の生産

代替プロテインに類似しているが、ゲノムやセルのレベルで編集を行い、動物を飼育して殺すことなく、肉自体を生み出したり、レザーを開発したりするのがこのカテゴリーだ。

僕が面白いと思うスタートアップの紹介

ここからは、上のマップにあるスタートアップの中から、幾つか面白いと思うものを簡単に紹介していこう。

Algama

植物性プランクトンを元に飲料やマヨネーズを開発する、フランスのスタートアップ。食物連鎖の起点にある生物らしい。プロテインが肉の2倍含まれており、今後様々な製品に応用していくのだと予想できる。

APEEL SCIENCES

収穫後の野菜や果物の腐敗を格段に遅らせる、植物性のコーティングを開発したスタートアップ。少し前に話題になったが、HPを下にスクロールするとあるビデオを見ると、その効果に驚くかもしれない。既に$110M（≒125億円）の資金調達を実施済で、投資家にはa16zも含まれている。

Freight Farms

気温や栄養のコントロールが自動化された、水栽培で葉物を中心とした野菜を生産できる、コンテーナーを開発し販売しているスタートアップ。

インドアで野菜を水栽培するスタートアップはこれまで幾つか自分でも見ているが、それを行えるコンテーナーごと販売している点が面白い。ちなみに、小売価格は$85K（≒970万円）。維持費等含めて、投資回収期間がどれくらいかによるが、例えば自社レストランで使用する新鮮な野菜を育てる等、ニーズはありそう。

Modern Meadow

最後に、食とは少しずれるが、DNAレベルでセルを編集し、それを育成することで、牛を殺すことなく実際の牛革や、同じ技術で食肉を作っている凄いスタートアップ。個人的に革命的な技術を持つ会社だと思う。現在これを使用したZoaというブランドで製品を開発中。シンガポールのTemasek等が投資家として入っていて、既に$53M（≒60億円）を調達している。

まとめ

今回は、フードの未来を作っていくと思われるスタートアップについて綴ってきたが、いかがだっただろうか。以下にまとめを書いてみた。
ちなみに、紹介したスタートアップの幾つかは、僕が時々会う友人が投資を手掛けたものである。改めて、大きな可能性を秘めた、非常に面白い会社に投資をしていると感じた。彼にはいつも刺激をもらっているが、早く追いつきたいと思う。