今日は、全米で展開しているサラダ専門店のsweetgreenを取り上げたいと思う。sweetgreenは、先日「ユニコーン入り」を果たしたと報道された。サラダ屋がなぜユニコーンになれたのか、考えてみたい。
sweetgreenとは
まず、sweetgreenがどういう会社なのか簡単に見ていこう。
2007年にワシントンDCにて設立された会社で、創業者はジョージタウン大学の同級生3名。彼らのユニークな思想や感性が形作っている会社だ。
サラダ店チェーンの会社で、2018年現在、全米に75店舗を展開している。
例えばマクドナルドのように、お客さんは実店舗へ行き、そこでサラダを食べたりテークアウトする。オーダーは、店舗で行うのに加えて、モバイルの専用アプリで行うことができる。
sweetgreenがユニコーンになれた理由
それではここから、sweetgreenがユニコーンになれた理由を考えてみたい。
ユニコーンになれた理由はおそらく単純で、店舗数、店舗当たり売上高、店舗当たりEBITDAを始めとするoperating metricsが順調に成長していること。そして、sweetgreenが取り組んでいるテクノロジーに対する投資家の期待なのではないかと思う。
残念ながら財務情報は公開されていないので分析できないのだが、sweetgreenの場合、これらが伸びているだろう最大の理由はそのブランドにあると思う。
単なるサラダ屋ではなくライフスタイルブランド
sweetgreenは単なるサラダ屋やファーストフードレストランではない。ライフスタイルブランドだ。
僕もニューヨークにいた際に訪れたことがあるが、サラダ自体は感動するくらい美味しいわけでも、安いわけでもない。(人気のサラダを頼んで$10ドルを超えた記憶がある。)
それなのに、店舗に行列ができる位人気なのは、sweetgreenがライフスタイルを示すブランドとして認知されていることが大きい。sweetgreenのサラダを食べることがカッコイイのだ。
それは、例えばテスラに乗ることに似ている。環境に優しく、先端のテクノロジーで出来ているテスラに乗ることがクールなのだ。
環境に配慮し、地元のコミュニティを大切にし、健康的でお洒落なsweetgreenというブランドが受け入れられているのだ。
sweetgreenは、Farm to tableといって、地元の農家から直接野菜を買って輸送し、それらを毎日各店舗で調理している。
店舗に行けば、どの農家から食材を仕入れているか表示されていて分かるし、実際にサラダを作っている様子がカウンター越しに見ることができる。
こうすることで、透明性やローカルコミュニティというブランドイメージができていくだろう。
あたたかい店舗デザイン
店舗は、自然やあたたかみを感じるデザインで、ローカルアーティストとコラボレーションするなど、それぞれの店舗で異なる。
接続性やローカルコミュニティというsweetgreenの世界観を示している、大きな要素だと思う。
テクノロジー
sweetgreenは、オンラインでオーダーし、それを店舗でピックアップできる独自の携帯アプリを開発している。記事によると、対前年でオンライン経由のオーダーは80%伸びていて、2018年終わりまでにアプリ経由のオーダーが全体の50%を占めるだろうとのこと。これはかなり高い数字だ。テクノロジーの導入がうまく進んでいると言える。
アプリ経由のオーダーが増えると、売上データが顧客個人のデータに紐づくので、より正確な分析が可能になる。例えば、それを新規メニュー開発に生かしたり、個人に最適化したマーケティングも可能になるだろう。
店舗オペレーションの観点からは、オーダー時間を節約できるため、より少ない人員で店舗をまわせるようになるだろう。更に、行列を嫌う顧客の取りこぼしが少なくなったりもするはずだ。
まとめ
以上、sweetgreenがユニコーンになれた理由を考えてみた。まとめると、以下になる。
- sweetgreenは、全米に75店舗を展開するサラダ専門店
- 単なるサラダ屋ではなく、クールなライフスタイルブランド
- 地元農家から直接仕入れをする、Farm to table式
- 店舗ピックアップのアプリを開発し、取得した顧客データを生かした経営