新型肺炎の影響が日本でも出てきた。遂に死者も出てしまい、関心が高まっているのではないだろうか。
香港の感染者数は限定的にとどまっている
香港では1ヶ月ほど前から街を歩く人の90%くらいはマスクをし、多くの会社は社員を自宅へ待機させ、リモートワークにしている。(ちなみに、僕はいつもと変わらずオフィスで働いておりますw)
政府は学校を3月中盤まで閉鎖することを決定した。
街では、マスクはもちろん、ハンドソープとトイレットペーパーを買うことが困難な状況だ。僕の理解では、輸入量が限られる一方で人々が一気に買いに走ってることが理由だ。
SARSの記憶が強いため、香港市民の肺炎に対する意識は極めて高く、香港で肺炎に感染した患者はそれほど増えていない。現在で50人強、日本の5分の1程度だ。
騒ぎが起きて政府が中国から来た人の対応を決めるまで時間がかかったことを考えると、よくやってるのではないかと思う。
世界的に経済へのダメージは深刻になる可能性がある
肺炎の広がりを食い止めることは上手くやっていると思う一方、経済への影響は必須だ。
香港にあるホテルの稼働率は10-20%(?)と聞いたし、レストランは閑散としている。航空会社は便を減らし、クルーに無給の長期休暇を促したりしている状況だ。
サプライチェーンはかなり混乱していて、例えば空輸は大きな影響を受けている。どうやら貨物の空輸料金は、通常時の3-5倍するらしい。
アメリカや日本からマスクなど注文のオーダーが激増しているらしく、その急激な増加に人手や倉庫スペースが足りていない。僕が個人で投資しているクロスボーダーEコマースのロジスティクスの会社もそうで、この週末に様子を確認する意味も含めて倉庫で力仕事を手伝ってきた。マスクのパッケージが多く、広い倉庫は満杯で、フル稼働の状況だ。
話を戻すと、マスクやトイレットペーパー等を扱う小売やEコマース、そのロジスティクスを担う会社は肺炎によって売上が急伸している。一方、人が動くことで売上が上がる業界、前述のホテルや航空、飲食といった業界は大打撃を受けている。エネルギーも同様だ。
売上が大幅に減るという最も憂うべき事態なので、リストラはもちろん、資金繰りに困って倒産する会社も出てくるだろう。
今は中国本土はもちろん、香港ももろに影響を受けているが、これが徐々に波及して他の国にも影響が出てくるはずだ。
僕は、北半球が温かくなるタイミングや、各国の人々の意識が高まり予防が広まるタイミング、そしてそこから2-3ヶ月して徐々に事態が収束すると想定すると、この騒ぎが収まるのは夏頃までかかるのではないかと考えている。
今年の7-8月は東京オリンピックだが、残念ながら影響が出るのではないだろうか。オリンピックが中止にはならないと思うが、想定していたより観光客が減るのは十分あり得るシナリオだろう。
実はインフルエンザの方が危険?
最後に、知人から聞いたことを紹介して、今回の投稿を締めたいと思う。
彼は、知り合いのアメリカ育ちの香港人なのだが、今回の肺炎による事態を過剰反応だと言っていた。
どうやら、去年の冬から今年初めにかけて、アメリカにおいてインフルエンザで亡くなった人は1万人を超えていて、新型肺炎による死者の10倍以上とのこと。
SARSやMERSと比べても、致死率は圧倒的に低く2%程度なので、手洗いをしてきちんと予防すれば問題ないと主張していた。
医学的な詳細は置いておくが、単純に死者数や致死率をアメリカのインフルエンザや、過去のSARSとMERSと比べると確かに事実なので、彼の言うことは正しいと思った。
逆に今回の騒ぎで改めて思うのは、人々の心理が実態に対して過剰に反応することで、それが経済に実態の数倍の影響を与えてしまうということだ。
景気が上向く場合は過剰期待、下がるのは過剰心配。過剰なのは上がる時も下がる時も変わらず、ということなのだろうか。