僕は毎日、スタートアップの起業家達と会い、色々なビジネスに触れている。今回は、公開情報を元にして、自分が面白いと思ったビジネスを分析しようと思う。
Ollieとは
今回取り上げるのは、Ollie。New York拠点で、ちょうど今から2年前に設立されたスタートアップだ。
インターネットを使い、DTC(Direct to consumer。顧客に直接届けるという意味)で、顧客毎にセミカスタマイズしたドッグフードを販売している。
これまで$17Mの資金調達を完了していて、投資家にはPrimary Ventures PartnersやLerer Hippeau等、ニューヨークで中心的な役割を果たしているVCが入っている。
僕がそもそもこの会社を知ったのは、Co-founderの一人が僕のMBA時代のチームメートだからだ。
彼女は大の犬好きで、家にはレスキューした茶色の大型犬がいる。その犬に市販のドッグフードを食べさせていたところ、犬が太ってしまった。それを解決したく、Ollieを他Co-founders達と起ち上げたとのこと。
ドッグフードではあるものの、人間も食べれるクオリティらしい。
以下、僕が面白いと思うポイントを挙げていく。(データがあまりないので、ユニットエコノミクス等の数値分析は控える。)
巨大な市場
アメリカのペットフード市場は240億ドル(1ドル110円換算で2兆6000億円)と巨大だ。ドッグフードだとこれより小さくなるが、それでも十分大きいだろう。どんなに優秀な起業家でも、市場が大きくなければ(もしくは今後市場が大きくならなければ)大きな成功は望めない。
直接顧客データを取得
DTCビジネスの強みの一つは、顧客と直接対面するため、そのデータを取得できることだ。例えば、既存のドッグフードメーカーは、おそらく卸売を挟む等して、最終的には小売店舗で販売する。しかし、それが自社店舗でない限り、顧客のデータは取得できない。
顧客データ、例えば顧客の属性や属性毎の好みを知ることができれば、それらに最適化したサービスやプロダクトを提供できる。どんなニーズがあるのかより正確に理解できるので、新しくサービスやプロダクトを提供する時のヒット率が格段に上がる。
加えて、顧客と直接コミュニケーションが出来るので、マーケティングもより効率的に行える。
ブランド
SNSやダイレクトメールを使ったマーケティングを含めて、親しみやすいブランドイメージがあり、良いと思う。更には、レスキュー犬を保護する団体のファンドレイズ・イベント等も企画していて、親しみやすさに加えて、犬のことを大切に考えていることが伝わってくる。僕もレスキュー犬を飼っているのでよく分かるが、犬は単なるペットではなく、家族の一員。ここら辺のブランディングや想いは、多分チームメートだった彼女が中心になって構築しているのではないかと思う。
想定される今後の戦略
今後のビジネス拡大が色々な面に振れる。顧客データを持ち、好まれるブランドイメージを持てば、色々なことが可能だ。パッと思いつくだけでも、地域拡大(西海岸や中部等)、プロダクト拡大(例えば、猫、価格帯の選択肢を増やす、現在牛/七面鳥/鳥/羊の選択肢をよりカスタマイズさせるなど)、事業拡大(有料イベントの開催など)が思い浮かぶ。何れは、オンラインに限らず、実店舗を持ち、潜在顧客へのリーチをして、データを取り、更に独自のブランドイメージを高めていくのではないか。
まとめ
今回はOllieを紹介したが、いかがだっただろうか。以下、本記事の内容をまとめてみる。
- Ollieとは、ニューヨークを拠点にDTCでドッグフードを販売するスタートアップ
- SNSやイベント通して、親しみやすいブランドを構築
- 今後は、顧客データを元に地域やプロダクトを拡大していくと予想
クラスメートが創業した会社であることに加えて、ビジネスも好きなので、是非応援したい会社だ。今後の成長を見守っていきたい。
我が家の愛犬セブン。
[…] 今日はAwayというスタートアップを分析しよう。以前ペットフードを販売するOllieについて書いたが、それと同様、AwayもMBA時代のクラスメートが起ち上げた会社だ。現在アメリカで最も注目されているスタートアップの一つだろう。 […]